生態系の多様性

  • で、こうなると問題になるのは個人の体験価値をどう推定するかってことで、それは心理学の領域になる。
  • まあでも実際にはそんなに簡単なものではなく、商品開発に落とし込むにはかなり話をはしょらないといけなくなるはず。
  • そこで怖いのが、個人の体験価値が過度に単純化されてしまうこと。
  • その、過度に単純化された体験価値を実現するために商品開発が行われ、それによって構成された生態系の中で「単純な」体験を繰り返して成長する消費者は、結局「単純な」体験価値への感受性しか持ち得なくなるのではないだろうか。
  • 予言の自己成就みたいなことが起こりうるのだ。本来単純でなかったはずの体験価値のバリエーションが、商品開発上の理由から「単純なもの」と仮定されてしまい、それによって「単純な」消費環境が構成され、結果としてその環境への適応として「体験価値感受性の単純化」が生じ、実際の体験価値も単純化する、ということ。
  • 消費者はそんなにバカじゃないですか?
  • 個々人の生態系の単純化に加えて、社会の構成員それぞれの持つ生態系のバリエーションも単純化するだろう。
  • 自然環境については、環境保全とか、多様性の維持、絶滅危惧種の保護ということはよく言われるが、文化環境に関してはあまり意識されることが無い(マイナー言語の絶滅とか、民族の伝統的習慣の消失を危惧したりはするけど、そんな「政治的に重要」じゃない生活文化みたいなの)。
  • しかし、個人や社会の体験価値の多様性って、結構大事だと思うんだけどな。