戻ってくるバトン

自分が好きだった人や場所やものの輝きが、時とともに失われていくのを見るのはつらいものだ。それは同時に、自分がそういった外部の輝きにいかに寄りかかって生きていたかを思い知らされることでもある。バトンが自分に戻ってきた、と考えればいいのかもしれない。未だに筋力も不十分などころか、どこを目指して走ったらいいかもわからないと言うのに。そういえば、生まれた時にすでにこのバトンを持っていたんだっけ。誰が何のために自分に渡したのか、全く記憶にないけれど。時々他人に渡してみたりしてつかのま休んでみたりもしたけれど、避け難く、戻ってくるんだよな、いつも。